私たちは日常生活において、食料品を購入したり、電車やバスに乗ったりしていますが、そこでは無意識の内に契約をしており、今日においては契約することなしには生活できない状況にあります。そこで、まず契約についてお話しましょう。
契約は当事者間で合意をすれば成立します。契約という言葉は普段あまり使わないと思いますが、身近な例では、買い物をするとき物品の売買契約が行われています。みなさんの買いますという「申し込み」に対して、店の売りましょうという「承諾」があれば、そこで売買契約が成立したことになります。
そして、契約が成立すると双方に「権利」と「義務」が発生します。例えば、AさんがB書店で1,000円の本を買おうとする時、Aさんがその本を持ってレジに行くことで、Aさんはその本の代金を払う「義務」と本をもらう「権利」が、B書店は本を引き渡す「義務」と代金を受け取る「権利」が、ということになります。
また、一旦成立した契約を、どちらかの一方的な理由によって契約の解除を申し出ても原則として双方の合意がなければ成立しません。ただし、クーリングオフのように法律で契約当事者の一方からの解除が認められている場合があります。
契約の注意点
契約は口約束でも成立します。契約者や契約書の署名・捺印などは決して必要ありません。契約書は双方が契約内容を確認するためのものであり、署名・捺印はその内容を確認しましたという証拠のことです。
ですから、電話で商品購入の契約をして、後になって高額なので解約しようとしても、まだ契約書を受け取っていないとか、契約書に署名・捺印していないとか、商品をうけとっていないからという理由で一方的に解約はできないことになります。
契約は、
- 口約束だけでも
- 契約書がなくても
- 印鑑を押さなくても
成立します。
未成年者の契約
未成年者(20歳未満)が契約する場合には、原則として両親などの法定代理人の同意が必要です。同意がない契約の場合本人または法定代理人が取り消すことができます。
ただし、次のような場合には、取り消しができません。
- 支払総額が小遣いの範囲内である場合
- 成人になっても支払を続けた場合
- 父母が代金を支払うなど追認した場合
- 自分は成人していると偽って契約した場合
- 婚姻している場合
ですから、例えば、小遣いの範囲を超えた高額な商品やサービスの購入契約を未成年者が単独で行った場合には、その契約を取り消すことができます。
また、悪質な業者は契約書などに年齢を記入する際、「20歳と書くように」などと成人と偽装させるケースもあります。