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シリーズ私たちと人権70

2020年09月01日

ハンセン病をめぐる人権~長い間隔離され、差別された人々の苦しみ~

1.ある日の出来事~テレビを見ていて~

 この前、テレビでハンセン病についての番組が放送されていた。

 僕はそこで、ハンセン病という病気を理由に、たくさんの人たちが無理やり療養所に入所させられたということを初めて知った。ハンセン病ってそんなに恐ろしい病気なのかな…。そう思って、僕はお父さんに聞いてみた。

 「お父さん、ハンセン病って人にうつりやすい怖い病気だったの?」「そうじゃないんだ。感染力は弱いし、ずいぶん昔に薬もできていたんだよ。でも、一度入所した患者さんは、二度と外に出ることができなかったんだよ。」

 療養所で隔離される必要はない病気なのに、家族から引き離されてしまった人たちの気持ちは、いったいどんなものだったんだろう。もし僕が、大好きな人と一緒に暮らせなくなってしまったら…と考えると、とても悲しく、つらい気分になった。

2.考えてみましょう。

 ハンセン病は「らい菌」という細菌による感染症です。らい菌は、感染力がきわめて弱い細菌であり、日常生活では感染しません。たとえ感染したとしても、治療薬によって治る病気です。

 しかし、国は、明治以降長い間、ハンセン病患者を療養所に強制的に隔離するなどの誤った政策を続けてきました。このことは「国が法律までつくって隔離するのだから、ハンセン病は感染しやすい怖い病気」という偏見を助長し、患者だけでなくその家族も結婚や就職、近所づきあいを拒まれるなど、社会から厳しい差別を受けることになりました。

 家族と一緒に暮らせない、本名を名乗ることができない、子どもを産むことが許されない、といった、患者さんが長い間強いられてきた苦しみを、皆さんは想像できますか?

3.ハンセン病に関する正しい知識について

 患者の隔離を定めた「らい予防法」は、平成8年にようやく廃止されました。しかし、療養所入所者が既に高齢となっていることや後遺症による重い身体障害のある人もいることだけでなく、今も社会に残る偏見や差別が、入所者の社会復帰を困難にしています。

 平成15年に熊本県内で発生したホテル宿泊拒否事件では、まったくの被害者である菊池恵楓園入所者自治会などに、多くの抗議や中傷の手紙などが寄せられたという事実があります。

 差別や偏見をなくすため、一人ひとりがハンセン病に対する正しい知識と理解を持つことが、まず求められています。

 (参考資料:熊本県人権啓発冊子「くらしと人権」より)

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