復興された日本一の大太鼓
現在、保存されている太鼓は25地区の26基ですが、戦前まではもっと多くの地区が太鼓を所有していました。しかし、戦後の急速な社会変化の流れの中で「雨乞い祭り」などの農村の伝統行事は次第に衰退し、数多くの大太鼓が放置されたまま朽ち果てたり、売られたりして姿を消してしまいました。
宇土市では”ふるさと創生資金”の一部を活用し、平成2年から3年にかけて各地区に残されていた大太鼓の修復と宇土市大太鼓収蔵館の建設を行いました。現存する26基は、地区住民の手により大切に保管されていたため保存状態が良く、皮の張り替えや木星の取り替え、胴の一部修復程度で再生することができたものです。
太鼓は全てケヤキの刳り貫きで、横から叩く長胴太鼓が23基、平置きにして上から叩く”ドラ”と呼ばれる太鼓が3基あります。長胴太鼓には面の周囲に木星(きぼし)と呼ばれる飾りが付くのが特徴です。
最も大きな太鼓は椿原(つばわら)地区のもので、面の直径130cm、長さ207cm、胴回りが513cmもあります。また、太鼓が作られた時代は、大半が江戸時代後期から明治時代前半ですが、最も古い平木(ひらき)地区の太鼓は胴内の銘文から寛文13年(1673)の製作であることがわかっています。
現在、雨乞い大太鼓は「大太鼓フェルティバル」として、宇土の夏を彩る風物詩の一つとなっています。