多様な5つの石棺が並ぶ
この古墳は、全長46メートルの前方後円墳で、古墳時代中期(5世紀中頃)の築造であると推定されています。5世紀代にこの地域でつくられた数少ない古墳の1つで、この時代の宇土半島基部の様相を知るうえで重要な遺跡です。
大正10(1921)年に調査が行われ、後円部にあたる場所に3基の石棺および1基の石蓋土壙(せきがいどこう)、前方部に1基の組合せ式箱形石棺が東西方向に並んで埋葬されているのが確認されました。南側から1号棺~5号棺と呼ばれており、いずれも宇土市網引町付近でとれる阿蘇溶結凝灰岩製です。1号棺からは人骨2体と直刀2振、鉄鏃(てつぞく)などが発見されました。1つの墳丘の中に形状の異なる複数の石棺を有するのは非常に珍しく、埋葬が同時期でなかった可能性が高いと思われます。
現在、石棺は覆屋で保護されており、普段はガラス越しに見学することができます。