はじめに・・
平成7年に発生した兵庫県南部地震や平成16年に発生した新潟県中越地震は,我々の想像を絶する被害をもたらしたことはまだ記憶に新しいことだと思います。また,こうした災害時において学校施設などは重要な防災拠点としての役割を担ってきましたが,地震により倒壊するなどの被害もでており,施設の耐震性の推進については昨今の大きな課題となっています。
学校施設は,子どもたちにとって一日の大半を過ごす場所であり,豊かな人間性を育むための空間でもあります。また,地域住民にとっては,地域コミュニティの拠点としての役割も担っており,当市においても,この問題を喫緊の課題と考え,計画的な施設整備を実施しています。
宇土市の取り組み・・・
平成16年度に第1次診断を実施(10棟)し,この結果を踏まえて平成18年度に対象施設(昭和56年5月以前の構造基準で建設された建物で非木造 2階建て以上又は床面積200平方メートルを超える建物)となる26棟すべての診断(第二次診断)を実施しました。この結果,補強,改築が必要な施設について,現在整備を進めています。
※棟数は施設台帳上の数になります。
宇土市立小学校・中学校対象施設耐震診断及び耐震化状況一覧表(サイト内リンク)
用語説明・・・
二次診断
ラーメン構造(柱と梁で造られているもの)の建築物の耐震性を評価するもの。 ※柱の壁の強度とじん性(粘り強さ)を考慮して耐震性能を算出する方法。鉛直部材の強度のほか,建物のじん性(粘り強さ)も評価します。
旧耐震基準
昭和56年5月31日以前の構造基準で建てられた建物で,非木造建て2階以上又は200平方メートルを超える建物(耐震診断対象)
新耐震基準
昭和56年6月以降の構造基準で建てられた建物
Is値(構造耐震指標)
建物の耐震性能を表す指標です。
値 | 耐震性能 |
---|---|
0.7以上 | 耐震性能があるとされるものです。 |
0.3以上0.7未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊,又は崩壊する危険性があるとされています。 |
0.3未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊,又は崩壊する危険性が高いとされています。 |
※Is値の目安は0.6以上とされていますが,公立学校施設の耐震改修の補助要件として,地震時の児童生徒の安全性,被災直後の避難場所としての機能性を考慮し,補強後のIs値がおおむね0,7を超えることとされています。
q値
保有水平耐力の指標で,Is値が0.6以上でかつq値が1.0以上であれば倒壊や崩壊の危険性が低いとされるものです。
CT×SD値
CT(累積強度指標)とSD(建物形状指標)の積で,CT・SD≧0.3(CT×SDが0.3以上)を基準とします。
補強
施設名 | 補強場所 | 対処 | 実施 | 竣工日 |
---|---|---|---|---|
花園小学校 | 特別教室棟・屋内運動場 | 補強 | 平成20年 | 平成20年9月18日 |
鶴城中学校 | 普通教室・管理教室棟 | 補強 | 平成20年 | 平成20年11月28日 |
住吉中学校 | 管理教室棟・教室棟 | 補強 | 平成20年 | 平成20年11月28日 |
改築
宇土小学校においては校舎・屋内運動場改築,網津小学校については校舎改築を実施することになりました。改築にあたってはそれぞれに改築検討委員会を設置し,基本方針に沿って事業を展開しています。