コロナ禍となり、祭りなどのイベントはもちろん学校や職場、地域での行事ごとから冠婚葬祭に至るまで、社会生活におけるあらゆる活動が「新しい生活様式」の名のもと変わりつつあります。
本格的なウィズコロナ時代に突入し、今後、様変わりするものもあれば、これを機に失われてしまうものもあるかもしれません。このような中でも、変わらず残したい、残すべきものがあります。それは、人と人との絆を結ぶものであり、心を豊かにするものであり、そしてその地域に脈々と受け継がれてきたものではないでしょうか。
それがこの宇土にもあります。宇土の伝統文化の一つであり、国の重要有形民俗文化財「宇土の雨乞い大太鼓」です。その伝統を引き継ぐ「第37回宇土大太鼓フェスティバル」が10月末に開催され、勇壮な太鼓の響きで多くの来場者を魅了しました。
私も、かつて実行委員会のメンバーや演奏者として深く携わってきたイベントで、3年ぶりの開催を楽しみにしていた一人です。一部規模が縮小され、感染対策のための制約が設けられたものの、特に混乱することもなく、会場内は、来場者や出演者など、そこに集う全ての皆さんの笑顔であふれ返っていました。
「イベントには、人とまちをつなぎ、人を元気にする力がある」
これは、裏方としてフェスティバルの実行委員のほか、数々のまちおこし活動に関わってきた私の持論です。
コロナ禍以来、初のイベント運営でこれまでにないご苦労もあったことと思います。運営にご尽力いただいたかつての仲間たちに心からの感謝をいたします。そして、このフェスティバルが長く後世へと受け継がれますことを心から期待しています。
そのフェスティバルへの出演はもちろん、実行委員会と共に運営を担っている「宇土雨乞い大太鼓保存会青年部」が、今年、結成30周年の節目を迎えました。
私自身、市職員時代に青年部の設立に携わり、その後10年余り一部員として在籍していたこともあり、自分事のように嬉しく思っています。
当時の私のレパートリーは2曲程度(笑)。仲間たちも同じようなものであったと記憶しています。現部員たちは、結成20周年を機に愛称を「宇土天響太鼓」とし活動の幅を広げ、今では単独公演ができるまでの太鼓集団へと押し上げてくれました。それもこれも、部員らが後継者の育成に精力を注ぎ、仲間との絆や地域とのつながりを大切に、そして太鼓文化をしっかりと受け継いできてくれたからだと思います。そんな彼らをOBとして大変誇りに思います。
さて、今年の締めくくりに、私が太鼓とまちおこしの師と仰ぐ方の人生訓から、心に刻んでいる教訓をご紹介します。
「見ろごっにゃ~ 聞こごっにゃ~ 言をごっにゃ~
そっじゃ郷土(まち)は 良うならん」(※)
師は、青年部を始め、多くのまちおこし活動を共にした方です。人の心を動かすのがとてもうまい方で、心に刻まれた教えの数々が、亡くなられた今でも私の原動力となっています。
この想いは、これからも変わらず持ち続けたいと思っています。
※解釈:[引用「な~んでなか地蔵の放浪独り言」より]
「見たくない」「聞きたくない」「言いたくない」の無関心?
それでは、ふるさとは良くならない。