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元樹だより 令和5年2月

2023年02月01日

 年始の恒例行事である「成人式」。今年は、成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、名称を「宇土市二十歳(はたち)の祝典」に改め、晴れて大人の仲間入りをした二十歳の皆さんの門出をお祝いしました。

 毎年のことですが、艶やかな着物や真新しいスーツに身を包み、恩師や友人らとの再会を喜ぶ皆さんの姿をつい保護者目線で微笑ましく眺めてしまいます。

 ご家族におかれましても、立派に成長された子どもさんの姿は、ご自身の人生の節目のようでもあり、感慨もひとしおであったことと思います。

 また、式辞を述べるときに私に向けられた皆さんの真剣な眼差しから、成人としての強い自覚が伝わってきました。人生の先輩として、とても頼もしく、うれしく感じた次第です。

 そんな新成人の皆さんの凛とした大人の表情をみながら、思い出した人物がいます。

 その人物とは…「宗方小太郎」です。江戸時代末期の元治元年(1864年)に宇土藩士の長男として生まれ、若くして中国に渡り、人生の大半を中国での政治活動に身を投じた郷土出身の偉人です。

 宗方は、学生時代に済々黌高等学校の前身である「同心学舎」で中国語を学び、21歳(明治17年)の若さで上海に渡ります。その後、亡くなるまでの約40年もの間、民間人でありながら政治活動を行う「大陸浪人」(※)として、中国の政治・経済・軍事・文化などの研究を丹念に行う傍ら、中国で新聞社や教育機関を設立するなどの功績を残し、大正12年2月3日、上海で波乱にとんだ約60年の生涯に幕を閉じました。

 彼の名前をネット検索してみますと「熊本県宇土市出身のジャーナリスト」と紹介されています。当時は、渡航するにも情報を得るにも、想像以上に困難を極めた時代です。彼はジャーナリストとして身命を賭して自身が見聞きした真の情報を祖国に発信し続けた人物ということでしょう。強い信念なくして、できることではありません。

 彼が生きたのは、幕末から大正へと歴史が大きく動き、多くの人がその歴史に翻弄された時代でありました。そんな情勢の中を、異国の地で力強く人生を生き抜いた宗方は、志の高い人物であったのだと思います。

 今月3日は、宗方の没後100年にあたります。この節目に彼から「志を高く持つと道は開けてくる」と教えられているように感じます。

 新成人の皆さん、次代の主役は間違いなく皆さんたちです。自分の可能性を信じ、志を高く持ち、これからの人生を自ら切り開いていかれますことを心から期待しています。


※「大陸浪人」とは、明治初期から第二次世界大戦終結までの時期に、中国大陸等各地に居 住・放浪して、種々の政治活動を行った民間日本人の呼称




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