令和7年度施政方針

2025年02月28日

 昨年を振り返りますと、元日に発生した能登半島地震をはじめ、豪雨による災害など、自然災害が相次いで発生し、改めて、災害への備えの重要性と、その責任の重さを感じた年となりました。

 また、日常生活においては、食料品やエネルギー価格をはじめとする、物価の高騰が長期化し、市民の皆様においては、先行きが見通せず、不安を払拭できない日々が続いたものと思います。

 本市としましては、物価高騰対策として、全市民への商品券の配布や、低所得世帯への臨時給付金の支給など、緊急的な経済対策を実施してきたところであります。

 これにより、市民の皆様の、生活への不安感の軽減に多少なりともなりえたのではないかと考えております。

 今後も、引き続き、国や県と連携しながら、物価高騰の影響を受けている市民の皆様や事業者の皆様が、安心した日々を送ることができるよう、その支援に取り組んでまいります。

  そのような中、昨年は、本市の市政運営においては、「攻めの行政」に転じ、一歩踏み出した一年でもありました。

 新たな取組としましては、企業や移住者、就業者に対する補助金を新設するなど、企業誘致や定住・移住を推進するための支援策の拡充と強化に努めました。

 また、図書館機能を併設し、誰もが気軽に利用できる「多目的市民交流施設」の整備にも着手しております。

 さらに、市の魅力を広く発信するため、2024ミスインターナショナル日本代表で、昨年11月に開催された世界大会において「ミス・アジアパシフィック」に選出された、本市出身の植田明依(うえだ めい)さんと、現在、市の多目的市民交流施設整備事業プロデューサーで、熊本県民テレビのアナウンサーとして活躍された本橋馨(もとはし かおる)さんを宇土市親善大使に任命し、市のイメージアップに御協力いただいているところです。

 加えて、キャッチフレーズを「九州のどまんなか宇土市」と定め、新たなプロモーションもスタートさせております。

 その他、子育て関連において、こども家庭庁が掲げる、「こどもまんなか社会」を実現するため、こどもたちのために何がもっとも良いことかを考え、こどもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現するため「こどもまんなか応援サポーター宣言」を行いました。

 これまで種をまいてきた、これらの新たな施策が、少しずつではありますが、確実に芽を出し始めていると感じています。

  現在、本市を取り巻く環境は、人口減少・少子高齢化の進展や長引く物価高騰など、依然として厳しい状況にあります。また、急速なデジタル社会の進展への対応などもあり、行政課題が山積しています。

 社会情勢の大きな変化に直面し、時代の岐路に立っている現在、いかに新たな宇土市を切り開いていけるかが、今まさに問われています。

 市政運営の基本方針としては、令和5年度からスタートしている、第6次宇土市総合計画後期基本計画に基づき「復興から発展へ 未来へ“輝くふるさと”宇土」の実現のため、様々な施策を展開しているところですが、10年先、20年先、さらには、その先を見据え、山積する課題解決に向けた施策を、これまで以上に推進していく必要があります。

 そこで、令和7年度は、芽が出始めた施策が、花を咲かせ、実を結ぶものとなるよう、テーマを『前進』とし、宇土市が新たなステージへと、より一層歩みを加速していく年にしたいと考えております。

 昨年から「九州のどまんなか宇土市」をキャッチフレーズに、宇土市の認知度向上に取り組んできたところですが、令和7年度、更なる認知度向上を目指すため、新たに、シティプロモーション業務を推進する部署を設置します。

 そこで、本市が持つ強みや地域資源などの多彩な魅力と施策などの行政情報を広く市内外に戦略的に発信し、宇土市が「住みたい、住み続けたい」まちに選ばれ、定住・移住人口及び関係人口の維持・拡大につながるよう、取り組んでまいります。

 「九州のどまんなか宇土市」このフレーズを合言葉に、市の魅力を広く発信してまいります。

 また、急激に進展するデジタル化に対応するための、ⅮX推進を担う部署や、昨年行った「こどもまんなか応援サポーター宣言」を実行し、こどもまんなか社会を実現するための関係部署の組織見直しも行います。

 さらに、国際交流事業として、台湾の台南市と宇土市・宇城市・美里町の2市1町から成る宇城地域との友好交流協定の締結に向けて調整を進めています。

 協定の締結後は、経済や観光、文化に加え、特に、次代を担う子どもたちが国際感覚を身につけ、将来、海外で活躍できるよう、教育交流を通したグローバル人材の育成を推進してまいります。

  結びに、令和7年度は、私にとって、4期目の市長任期を締めくくる節目の年度となります。

 これまで取り組んでまいりました様々な施策に対する、市民の皆様、市議会の皆様の御協力や御支援に、この場をお借りして、改めて心より御礼申し上げます。

 4年間の総仕上げともいうべきこの一年を、引き続き、議員の皆様と連携し、市民の皆様の声を大切にしながら、全力で市政運営にまい進してまいりますので、これまで以上の皆様の御理解と御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

  それでは、令和7年度の予算案の概要について申し上げます。

  本市の財政状況は、熊本地震関連で借入れた地方債の償還や、公共施設等の老朽化による維持・更新等に多額の費用を要していることに加え、物価高騰による影響等で義務的経費が増加している状況であり、厳しい状況にあります。

  そのような中、令和7年度は、第6次総合計画に掲げる「2026年の目標人口36,000人」の達成に向けて、「将来も宇土市に住みたい、宇土市に帰ってきたいと思われる“選ばれるまち”の形成」を目指す予算編成に取り組みました。

  具体的には、10年後、20年後も持続可能な行政サービスを提供するための「中長期的な視点を持って取り組む事業」、“九州のどまんなか宇土市”によるシティプロモーションをはじめとする「宇土市の個性や魅力を生かした事業」、デジタル等を活用し利用者視点で行財政のあり方を見直す「行政基盤の強化」に重点を置き、令和6年度を上回る総額229億8,000万円の一般会計予算案を調製いたしました。

  それでは、令和7年度一般会計予算案の主な施策の概要について、宇土市総合計画の基本構想の内容に沿って、御説明申し上げます。

  1点目は、震災復興分野の「“輝く”未来~震災からの復興~」についてであります。

  まず、防災拠点の整備としまして、現在の市役所駐車場を、大規模災害の発生時に緊急的に避難できる防災広場として整備してまいります。

  次に、全国的な大規模災害の多発化、甚大化に備え、指定避難所である市内小中学校体育館のうち未整備の6施設についてバリアフリートイレを整備し、避難者の生活環境改善を図ってまいります。

  また、各地区が主体となって実施する防災活動に対して支援を行い、地域防災力の強化を図るとともに、地域における防災活動のリーダーとなる防災士の養成を推進し、資格取得について、引き続き助成を行ってまいります。

  このほか、河川氾濫による浸水被害等を軽減するため、河川の改修を行うなど、引き続き、自然災害に対する防災・減災対策の充実に努めてまいります。

  次に、2点目は、教育・文化分野の「“輝く”人~学びのふるさとづくり~」についてであります。

  まず、旧田中会館の施設を活用し、多くの市民の方が社会的立場や属性等を気にすることなく気軽に交流できる空間として、図書館機能等を備えた、多目的市民交流施設の整備を引き続き進めてまいります。

 施設の整備に関しては、市民の皆様から寄せられた期待に応えることができるよう、地域への愛着や親しみが感じられる施設づくりを推進してまいります。

 幼児期教育につきましては、幼稚園の一時預かり事業、特別支援教育などを令和7年度も継続して行ってまいります。

  学校教育につきましては、市内全小中学校のタブレット端末を更新し、ICT教育を推進するとともに、これまで中学3年生のみを対象としていた「中学校英語検定チャレンジ事業」の対象を中学生全体に拡大し、英語力の向上を図ってまいります。

  スポーツの振興につきましては、船場川調整池周回コースの整備やecowin宇土アリーナのトレーニング機器購入等を行い、市民が安全で利用しやすい施設環境の整備に努めます。

  青少年の健全育成につきましては、家庭や学校とは異なる第三の居場所である子どもサードプレイスの工事に着手してまいります。

  文化遺産の保存・活用につきましては、令和4年度に国指定史跡となりました「轟貝塚」を本市の宝として後世に継承すべく、土地の公有化を進めてまいります。

  また、市民会館の舞台機構の修繕や空調機器の取替等を行い、施設の長寿命化を図ってまいります。

  次に、3点目は、保健・福祉・医療分野の「“輝く”絆~安心のふるさとづくり~」についてであります。

  まず、子育て支援につきまして、0歳から18歳までの「子ども医療費」の完全無償化を引き続き実施します。

  さらに、生後1か月児健診にかかる費用の助成を新たに実施し、子育て世帯に対する経済的支援を拡充するとともに、出産後から幼児期までの切れ目のない健康診査を通じて、様々な育児支援につながるよう取り組んでまいります。

  また、子ども食堂の活動への支援や、ジュニアスポーツ活動等への経済的支援を引き続き実施するとともに、こども家庭センターの取組を強化し、「こどもまんなか応援サポーター宣言」に基づく取組を推進してまいります。

 保育所及び放課後児童クラブにつきましては、保育補助者や保育支援員の雇用に対して、人材不足の解消及びより良い保育環境づくりのための支援を引き続き行うとともに、保育所入所定員の増加を図るため、宇土幼稚園2階に創設される小規模保育所に対し、施設整備の支援を行い、安心・安全な保育環境の充実を図ってまいります。

  高齢者福祉につきましては、eスポーツを活用して高齢者等の交流を促進していくとともに、新たに法人による成年後見受任制度を開始し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう取り組んでまいります。

  障がい者福祉につきましては、市独自の補助であります「在宅介護手当」や「紙おむつ費助成」、「福祉タクシー券の助成」などの支援を継続して実施するとともに、宇城圏域の市や町、事業所と連携しながら、障がい者の日常生活、社会生活を支援してまいります。

  また、令和8年度から12年度を計画期間とする第5期地域福祉計画を策定し、地域福祉の充実に努めてまいります。

  このほか、一つの支援機関だけでは解決に導くことが難しい、複雑で、複合的な課題を持つ方のために、「ふくしの相談窓口」を継続して開設し、サポートに取り組んでまいります。

  次に、4点目は、産業・経済分野の「“輝く”産業~活力のふるさとづくり~」についてであります。

  まず、農林業の振興につきましては、「6次産業化等支援事業補助金」を創設し、意欲ある生産者の加工品開発や販路開拓の支援を行ってまいります。

  また、農業振興だけでなく観光振興の視点を持ち、観光農園の増加に向けた取組を行ってまいります。

  水産業の振興につきましては、各漁港海岸の長寿命化計画の更新に着手するとともに、長浜漁港の物揚場嵩上げ工事を行い、漁港施設の機能強化を図ってまいります。

 また、熊本県、熊本市、玉名市と共同で整備する土砂受入地について、関係機関と連携し取組を進めてまいります。

  このほか、令和6年度に創設した「農水産加工施設整備事業補助金」により、引き続き西部地区の農水産業を支援してまいります。

 商工業の振興につきましては、市内で新たに創業する中小企業者を対象とした「創業・開業支援補助金」や企業誘致を促進するための「企業立地特別奨励金」による支援を推進し、地域経済の活性化を図ってまいります。

  また、令和6年度に創設した「奨学金返済支援補助金」により市内の事業所等に就業する若者を支援し、雇用の確保や移住定住を推進してまいります。

  観光の振興につきましては、「日本の渚百選」、「日本の夕陽百選」に選定されております「御輿来海岸」を望む島山の干潟景勝地展望広場の整備に引き続き取り組んでまいります。

  また、新たに地域おこし協力隊を任用して、SNS等を活用し宇土市の魅力を世界に向けて発信するなど、観光客の増加に向けた取組を進めてまいります。

  次に、5点目は、生活環境・都市基盤分野の「“輝く”まち~安全のふるさとづくり~」についてであります。

  土地利用の促進、市街地の整備につきましては、地域経済の発展や定住移住の促進に向けて、これまでの調査結果を踏まえ、有効的な土地利用の検討を進めてまいります。

  住宅・住環境の充実、定住促進につきましては、新たに「特定公共賃貸住宅子育て世帯移住促進助成金」を創設し、子育て世代の転入促進を図ってまいります。

  また、令和7年度は地域おこし協力隊の募集人数を増やし、本市への移住定住を促進するとともに、地域おこし協力隊による地域協力活動を推進してまいります。

  このほか、新たな建築物耐震改修促進計画を策定し、住環境の安全確保を図ってまいります。

  次に、住民協働・行財政運営についてであります。

  まず、ホームページやLINE、インスタグラム等のSNSを効果的に活用した本市の魅力発信ができるように、新たに「情報発信強化事業」を実施してまいります。

  市民参画の推進につきましては、新たな総合計画の策定に当たり、アンケート調査やまちづくり座談会を実施し、幅広い意見を反映させるよう努めてまいります。

  財政健全化につきましては、熊本地震関連で借り入れた地方債の償還が本格化し、令和18年度まで続いてまいります。現在の物価高騰、地域経済の状況を把握しながら、今後も行政運営の効率化・円滑化に取り組む必要があると考えております。

  また、今年度も「ふるさと宇土応援寄附金」として全国の皆様から多くの寄附をいただいております。いただきました御厚意を無駄にすることなく、行政運営に活用させていただきたいと思っております。

  最後に、「地区のまちづくり計画」についてであります。

  本市の7つの地区は、地区ごとに歴史や文化などの地域資源、特性があり、抱えている課題も違います。引き続き、分野ごとの各種施策と併せまして、地区の特性を活かすためのまちづくりを展開してまいりたいと考えております。

  以上、市政運営における基本的な考え方と主な施策について申し上げましたが、令和7年が大きく「前進」する年となるよう、全力で取り組んでまいる所存でございます。

 議員の皆様をはじめ、市民の皆様には、なお一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。


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