令和4年度施政方針

2022年06月03日

 これまでを振り返りますと、6年前の熊本地震及び豪雨災害以降、災害からの復旧・復興を最優先課題とし、鋭意取り組んでまいりました。そして、ようやく復旧の目処がついたところで、新型コロナウイルス感染症が流行し始めました。この2年間は、新型コロナウイルス感染防止対策に重点を置き、市民の皆様の命と日常生活を守り、事業者の方々の経済活動の継続に向けた取組に尽力してきたところでございます。

 このように、突発的に発生した緊急事態への対応に迫られ、この間、市政発展のための施策を十分に実施できず、足踏みせざるを得なかったのも事実でございます。

 4期目の市政を担うに当たり、最優先かつ最重要課題として取り組まなければならないことは、収束が見通せない「コロナ危機からの脱却」であることに変わりはありません。しかし、それに加え、コロナ禍を克服した先にある10年後、20年後の本市を見据えた、「未来につながるまちづくり」も積極的に進めながら、「住みよさを実感できるまち」になるよう、この4年間でその礎を築いていかなければならないと考えております。

 その実現のために、私の掲げた4期目のマニフェストに沿って、今後、取り組んでまいりたいと考えております主な施策について、5つの柱を基本として、その概要をご説明申し上げます。

 まず、1点目は、「安心・安全のまち」を実現する施策であります。

 自然災害に限らず、新型コロナウイルスなど、あらゆる事態への備えを強化し、安心して暮らせる安全なまちづくりを目指します。

 直面するコロナ危機への対応として、これまでもワクチン接種をはじめ、経済支援等、様々な形で対策を実施してまいりました。しかし、今もなお、経済的に困窮されている低所得者の方々や、事業者の方々のコロナ禍による影響を最小限に抑え、疲弊した地域経済の回復を図るため、情勢に応じた感染症対策と地域経済の活性化の両立を図ってまいります。

 熊本地震からの復旧事業につきましては、来春完成予定の新庁舎建設を残すのみとなりましたが、災害に強いまちづくりへの取組はまだ途上であります。今後は、市民の皆様とともに、より一層、自助・共助・公助の意識の醸成による防災力の強化を図り、地域社会の様々な場面で、地域防災力の向上のために活動していただく防災士の養成に取り組んでまいります。

 水害対策につきましては、県が、船場川下流部の松原排水機場の整備を令和8年6月からの供用開始に向けて急ピッチで進めており、また、網田排水機場の改修も実施する予定となっております。このような中、市では、排水能力向上に向けた網津川下流部の網津第2排水機場の施設整備のほか、戸口防潮堤の整備等を進めてまいります。

 また、防災・減災対策として、土砂が溜まっている農業用ため池の浚渫事業の推進、河川防災ライブカメラの増設を検討するとともに、災害時における生活用水の確保のため、避難所への防災井戸の整備のほか、公共施設への太陽光発電システムの増設にも取り組んでまいります。

 上水道施設の整備につきましては、配水能力向上を図るため、網津配水池の拡張整備に努めてまいります。

 有害鳥獣対策につきましては、被害の拡大防止について有効な対策の実証等を行い、これまで以上に対策を強化してまいります。

 その他、現在進行中の防災拠点機能と支所・公民館機能を備えた網田コミュニティセンターの建設につきましては、工事を着実に進め、令和6年度中の供用開始を目指してまいります。

 次に、2点目は、「暮らしを守る」施策であります。

 人口減少や少子高齢化に対応し、利便性と快適性を備えた機能的なまちづくりを目指します。

 まず、複雑・多様化する福祉分野における支援体制の強化を図るため、「ふくしの総合相談窓口」の新庁舎内への設置について、検討を進めてまいります。

 また、高齢者への支援につきましては、様々な交流事業等を展開することにより、一人暮らしの高齢者等が自宅などに閉じこもらず、社会的なつながりや生きがいを得られるよう、寄り添った支援を展開してまいります。

 デジタル化への対応につきましては、今年度から企画部まちづくり推進課に新設した「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室」を核として積極的な取組を行い、住民本位の行政サービスを目指します。併せて、デジタル分野を含む持続可能な社会を構築していく上で目標となる、SDGsの周知・啓発を市民の皆様に見える形で行ってまいります。

 道路整備につきましては、今後の土地開発も見据え、中心市街地周回道路の一部となる都市計画道路北段原線の整備に取り組んでまいります。

 住環境の整備につきましては、老朽危険空家等を除却する場合に、市がその一部を助成する制度により、安全安心を確保し、また、活用できる空家については、幅広い利活用の促進や支援を行ってまいります。

 公共交通関係につきましては、地域公共交通の現状や問題点、課題を検証し、利用者にとって利便性の高い、持続可能な公共交通の実現を目指してまいります。

 その他、市営二の丸墓園における長期賃貸型納骨堂と合葬墓を新設し、現在の老朽化した納骨堂の整備を進めてまいります。

 次に、3点目は、「仕事を支える」施策であります。

 地域を支える産業にテコ入れし、豊かな暮らしの創出を目指します。

 まず、ふるさと宇土応援寄附金につきましては、昨年度も令和2年度に引き続き、10億円を超える寄附を全国の皆様からいただいております。この応援寄附金は、本市の貴重な収入源であり、市内の地域産業の活性化に大いに寄与することから、本年度も安定した寄附の確保を目指すとともに新たな物産品の開発による返礼品の拡充や事業者の拡充支援につながる施策を展開してまいります。

 次に、本市経済の更なる発展に向け、企業誘致に向けた取組を推進してまいります。台湾の世界的な半導体製造会社であるTSMCの県内進出を好機と捉え、本市において設置した「宇土市半導体関連企業誘致等推進本部」を核として、関連企業の掘り起こし、誘致などに関する情報収集等を加速化させてまいります。

 農業分野につきましては、国が生産力向上と持続性の両立に向けて推進する「みどりの食料システム戦略」に基づき、地域の実情に応じた多様な生産体制の構築を目指していくとともに、小規模農業組合への支援として、共同利用設備購入等に対する助成制度の創設を検討してまいります。

 漁業分野につきましては、熊本県、熊本市、玉名市及び本市の4者が各漁港で浚渫した土砂の共同処分場を住吉地区に設置し、将来的に漁業用地としての利用も視野に入れ、環境評価等を実施した上で、整備を進めてまいります。

 また、アサリの復活事業につきましては、県や地元の漁業者、漁協と協力しながら、引き続き、資源回復に向けて、稚貝の育成や漁場の環境改善等に取り組んでまいります。

 商業分野につきましては、小規模企業者やネット活用ビジネスに対して、専門的な知識を有する人材を活用した支援を検討してまいります。

 また、6次産業や新たな特産品の開発に取り組む事業者に対する支援を継続し、「ウトブランド」として市の魅力発信と、地域特産品の販路拡大につながる施策を展開してまいります。

 次に、4点目は、「賑わいを創造する」施策であります。

 地域の賑わいを創造し、将来にわたって活力あふれるまちづくりを目指します。

 冒頭にも申し上げましたが、10年後、20年後の本市を見据え、将来への布石を打つ施策を積極的に行ってまいります。

 まずは、この4年間で、「行政主導による土地開発」を強力に進めてまいります。これは、民間による土地開発の呼び水とするためのもので、新たな賑わいの創造による地域活性化を目指し、本市の明るい未来を切り拓く鍵となる施策を展開してまいります。

 観光の推進につきましては、御輿来海岸干潟景勝地において、来訪者の増加で課題となっていた、駐車場とアクセス道路の拡張整備のほか、展望所のトイレの整備を進めてまいります。

 また、先に述べました「ONE PIECE」のキャラクター銅像が設置される住吉海岸公園の敷地内に、民営直売所を誘致することで、更なる誘客の推進を図ってまいります。

 さらに、西部地区の観光魅力を向上させるため、宇土マリーナへの宿泊施設の誘致を検討してまいります。

 公共施設の整備につきましては、指定緊急避難場所でもある宇土市運動公園と網津グラウンドのトイレを改修するとともに、立岡自然公園駐車場の拡張整備を行い、イベント等における施設利用者の利便性の向上を図ってまいります。

 次に、5点目は、「子育て・教育の充実」のための施策であります。

 子どもを健やかに育てることができ、充実した教育環境の構築を目指します。

 まず、子育て世帯への医療面での支援として、医療費無料化を現在の乳幼児から中学生まで拡充することを検討してまいります。

 次に、保育園の待機児童対策につきましては、年度当初の待機児童は解消されたものの、依然として年度途中の入所希望による待機児童が発生していることから、安心して子育てができるよう、保育所と幼稚園のそれぞれの所管部署で調整を行いながら、早期解消に向けて取り組んでまいります。

 また、放課後児童クラブの定員増への対応や特別支援教育の充実、学校におけるオンライン教育の充実に取り組み、生活に困窮する子育て世帯に対してはオンライン教育に必要なインターネット通信料の一部助成や機材貸与も検討してまいります。

 スポーツ関係につきましては、ジュニアスポーツにおける全国大会等の出場助成を拡充することで、スポーツで活躍する子どもたちの支援を行ってまいります。

 その他、新庁舎建設に伴い、機能移転を予定する現教育委員会庁舎につきましては、文化財資料館としての機能のほか、青少年健全育成に資するよう世代間交流ができるサードプレイスとしての活用を検討してまいります。

 以上、市政運営における基本的な考え方と主な施策について申し上げましたが、この4年間で蒔く「未来への種」が、10年後、20年後に「住みよさを実感できるまちづくり」として花開くことを目指し、進取敢為の精神で取り組んでまいる所存でございます。

 議員の皆様をはじめ、市民の皆様には、なお一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。


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