令和5年度施政方針

2023年03月06日

 昨年を振り返ってみますと、依然として新型コロナウイルス感染症に警戒が必要な年ではありましたが、「うと地蔵まつり」や「宇土大太鼓フェスティバル」、「うと産業祭」など、少しずつイベントや行事が規模を縮小しながらでも開催できるようになり、コロナと共存した社会に向けて、明るい兆しが見えた一年だったと感じております。

  一方で、国際情勢の変化に伴います原油価格や物価の高騰などが、市民生活のみならず、地域経済活動に甚大な影響を及ぼした一年でもありました。

 本市では、この深刻な事態に対応するため、まず、全市民を対象としました商品券の交付事業により、幅広い層への支援につながる施策に取り組みました。さらに、支援が行き届いていない業種に対しましても、原油価格や物価高騰の影響が特に大きい業種に的を絞り、運送事業者、施設園芸を営む農業者及び漁業者に対する燃料費の支援や、市内飲食店、高齢者施設等に対する支援のほか、保育所等副食費や幼稚園、小中学校給食費等の支援など、様々な市独自の支援を実施してまいりました。

 また、今年に入りましてからは、先の第1回臨時会で議決をいただきました予算によりまして、市内在住の0歳から18歳までの子どもを養育する子育て世帯に対する給付金の支給や、市外で生活をしている大学生等に対する給付金の支給なども行っているところでございます。

  このように、まだまだ安定した生活とは言い難い厳しい状況ではございますが、昨年は、本市にとりまして、明るい話題の多い年でもございました。

 その一つとして、7月には、熊本復興プロジェクトの一環で、念願でありました人気漫画「ONE PIECE」のキャラクター銅像「ジンベエ像」が住吉海岸公園に設置されました。隣接する「長部田海床路」も相まって、SNS映えする観光スポットとして、人気を博しております。

 また、消防操法大会では、本市の第3分団第1班が見事県大会を制し、本市初となる全国大会出場を果たしました。「市民の生命と財産を守る」という強い使命感を持って活動する団員の心意気が感じられ、大変心強く感じた次第です。

 そのほか、市内小中学生の目覚ましい活躍もございました。

 相撲やハンドボールなどのスポーツ分野にとどまらず、器楽合奏といった文化芸術分野などを含め、幅広い分野におきまして、全国大会や九州大会、県大会で好成績を収め、すばらしい活躍を見せてくれました。可能性にあふれる皆さんのなお一層の活躍を期待しつつ、そのエネルギーを本市の発展の原動力としてまいりたいと思います。

 さて、熊本地震から間もなく7年目を迎えます。

 これまでの道のりを振り返りますと、発災後の被災者支援や復旧・復興事業に加え、新型コロナウイルス感染症対策など、緊急事態への対応に追われた苦難の連続ではありましたが、市民の皆様、議員の皆様をはじめ、多くの方々の多大なお力添えのお陰で、ようやくここまでたどり着くことができました。

 そして、熊本地震からの復興のシンボルとして、再建を待ち望んでおりました新庁舎も1月23日に完成し、今月25日には落成式を挙行いたします。

 この新庁舎は、緊急事態など危機管理の拠点であると同時に、市民サービスの拠点でもあり、人と人が集い、つながりを育む拠点として、皆様に寄り添った施設でありたいと思っております。そこで、多くの皆様に新庁舎を知っていただき、より身近に感じてもらえますよう、落成式当日は、内覧会の開催も予定しております。ぜひ、御家族、御友人などお誘い合わせの上、内覧会にお越しいただきたいと思っております。

 なお、4月末からの大型連休中に引っ越しを済ませ、5月8日から供用開始いたします。今後は、より一層質の高い行政サービスの実現を目指し、市民の皆様の期待に応えられるよう、職員一丸となって取り組んでまいります。

 このように、令和5年は復興事業の節目の年であり、市勢の飛躍を目指す転換期として重要な年となります。そこで、本年は「未来につなぐまちづくり」を本格的に始動するため、「復旧・復興に向けた守りの行政から、未来を見据えた攻めの行政」に大きく舵を切りたいと考えております。

 そこで、主に、次の5つの施策を重点的に推進してまいります。

 まず、1つ目は、行政主導によります大規模な土地開発を行い、長期的視点に立った企業進出用地や住宅団地用地を確保することでございます。

 そのため、本市の立地環境の特性を生かし、企業等の進出候補地として、また、市外の方の移住・定住の候補地として、「選ばれるまち」となるような、大胆な政策を打ち出してまいりたいと考えております。

 2つ目は、本市への転入を促すための支援策を創設し、特に人口減少に歯止めがかからない西部地域への転入に関しましては、過疎対策として移住・定住を後押しするような、より充実した支援策を進めてまいります。

 併せまして、将来にわたり、市内全域で活力あふれるまちづくりを推進していくため、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない社会の実現」に向けた、地域の住み良さの向上につながるような特色ある支援策を講じてまいります。

 そして、本市のいずれの地域であっても「住むところ・働くところ」として、「選ばれるまち」更には「選ばれ続けるまち」へと進化させてまいりたいと考えております。

 3つ目は、高齢者や子育て・教育に関する施策におきまして、現在実施しております事業内容をブラッシュアップし、より創意工夫を凝らした施策を展開してまいります。

 皆様も御承知のとおり、国内において急速に進展する少子高齢化による社会的な影響は、大変深刻な問題となっております。この課題に対応すべく、国では、本年4月から、子ども政策の新たな司令塔として「こども家庭庁」が発足いたします。

 また、岸田首相は、1月23日の施政方針演説におきまして、「子ども・子育て施策」を最重要政策と位置付けて、「従来とは次元の異なる少子化対策」の実現を表明されました。

 本市におきましても、複雑化・多様化する子育て家庭の状況や、子育て支援へのニーズを的確に把握し、必要とする家庭が必要な支援を確実に受けることができるきめ細かな施策を展開することで、子どもたちがより豊かに育つことのできる環境づくりを目指してまいりたいと考えております。

 4つ目は、長部田海床路や、御輿来海岸、宇土マリーナなどの観光資源に付加価値を加え、更なる魅力アップを図り、経済波及効果を生み出す観光開発を行ってまいります。

 そのため、市外の方々に来訪動機を与え、何度でも訪れたいと思っていただけるような、魅力あふれる持続可能な観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。

  5つ目は、行政からの情報発信をよりスピーディで効果の高いものに革新してまいります。

 今日、「地方創生」の時代を迎え、自治体間競争が激化する中、ただ単に情報を発信するだけでなく、タイミングを見極めた、スピード重視の効果的な情報発信が求められております。そこで、情報を必要とする人に素早くアプローチできるような戦略的な情報発信を行うことで、様々な視点から、より多くの方に本市を積極的にPRしてまいりたいと考えております。

  また、これらの施策を展開する際は、全てを行政だけで担うのではなく、特に、「土地開発」、「観光開発」及び「情報発信」の分野では、民間の高いノウハウや機動力を最大限に活用してまいりたいと考えております。10年後、20年後を見据えた「住み良さを実感できる持続可能なまち」の実現に向けた「未来への投資となる施策」として、その道筋を確かなものにするために、強い使命感を持って取り組んでまいる覚悟でございます。

 そして、今後さらに、機動的な組織体制を構築するため、本年4月1日から市の組織体制を一部見直すこととしております。

 まず、「行政主導による土地開発」及び「緊急対応力と情報発信」に関連する部署を新設します。そのほかにも、より効率的かつ効果的な行政運営に向けまして、一部の部署で改変を行うこととしております。

 さて、令和5年度は、まちづくりの指針となる「第6次宇土市総合計画後期基本計画」のスタートの年でもあります。

 本市の将来像であります「復興から発展へ 未来へ“輝くふるさと”宇土」の実現に向けて、大きな飛躍を目指し、力強く踏み出す時です。

 そのためにも、これまで以上に議員の皆様と連携し、市民の皆様の声を大切にしながら、市政運営にまい進してまいりたいと考えておりますので、どうか皆様の御理解と御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、令和5年度の予算案の概要について申し上げます。

 令和5年度の予算編成につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応、昨今の災害の頻発化や少子高齢化といった国内における構造的課題、国を取り巻く環境の変化によりまして、市民生活や地域経済も大きく影響を受けており、行政に対しましては、この難局を単に乗り越えるだけでなく、構造的課題に対する対応策の検討・実施など、一歩進んだ対応が求められております。

 そのような中、令和5年度は大きく変化した社会情勢に対応すべく、「今、真に必要とされている取組」、「未来への種を撒く事業」、「カイゼン」に重点を置き、過去最大となる総額215億9,000万円の一般会計予算案を調製いたしました。

 それでは、令和5年度一般会計予算案の主な施策の概要について、宇土市総合計画の基本構想の内容に沿って、御説明申し上げます。

 1点目は、震災復興分野の「“輝く”未来~震災からの復興~」についてであります。

 まず、新庁舎建設につきましては、本年5月の供用開始後に、別棟の解体及び仮設庁舎跡地の整備、車庫棟の整備工事などの外構工事を行ってまいります。

 また、新庁舎落成記念事業としまして、NHKのど自慢大会を開催いたします。

 次に、網田地区の交流・防災拠点施設として、令和6年度中の供用開始を目指し、支所機能を併設した網田コミュニティセンターの建築工事に着手してまいります。

 また、宇土市復興まちづくり計画に基づき、新庁舎駐車場敷地内には防災井戸及び防災トイレを整備し、走潟小学校には防災井戸及び備蓄倉庫を設置するなど、防災設備の充実・強化に努めてまいります。

 そのほか、河川氾濫による浸水被害等を軽減するため、河川の改修を行うなど、引き続き、自然災害に対する防災・減災対策の充実に努めてまいります。

 次に、2点目は、教育・文化分野の「“輝く”人~学びのふるさとづくり~」についてであります。

 幼児教育につきましては、幼稚園の一時預かり事業、特別支援教育などにつきまして、令和5年度も継続して行ってまいります。

 学校教育につきましては、全ての小中学校でコミュニティスクールを実施し、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めてまいります。

 また、適応指導教室、スクールソーシャルワーカー等の配置を継続し、特別支援教育支援員を増員するなど、教育サポート体制の強化を図ってまいります。

 そのほか、現在、私会計で行っている学校給食費について、令和6年度からの公会計導入に向けた整備を進めてまいります。これにより、給食費はこれまでの学校に代わって給食センターが一括して管理することになります。

 次に、スポーツの振興につきましては、令和5年度も引き続き、子どもたちのスポーツ活動を応援するため、スポーツ振興基金及び地域環境整備基金を活用した支援を行ってまいります。

 文化遺産の保存・活用につきましては、熊本地震により被災した天神山古墳の復旧に対する補助を行うとともに、昨年11月に国指定史跡となりました「轟貝塚」につきまして、保存活用計画を作成し、本市の宝として後世に継承すべく、適正な保存管理に努めてまいります。

 そのほか、市民会館の防水工事及び大ホールの緞帳の補修を行ってまいります。

 次に、3点目は、保健・福祉・医療分野の「“輝く”絆~安心のふるさとづくり~」についてであります。

 まず、新庁舎に「ふくしの相談窓口」を開設するとともに、複雑多様化する福祉問題に対して、包括的に対応できる支援体制を構築してまいります。

 子育て支援につきましては、新たに、子ども食堂を運営する団体に対する補助や、新生児の聴覚検査に対する補助を創設し、支援の充実を図ってまいります。

 子どもたちの医療費につきましては、令和5年度も引き続き、中学生までの助成を行ってまいります。

 また、保育所及び放課後児童クラブにつきましては、保育士等の処遇改善や保育補助者の雇用など、保育環境への支援を行っていくほか、さかいめ放課後児童クラブを花園小学校敷地内に移設するための工事を行い、更なる保育環境の充実を図ります。

 高齢者支援につきましては、令和5年度も引き続き、熊本県後期高齢者医療広域連合からの受託事業であります75歳以上の後期高齢者医療加入者等を対象とした、高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な実施に取り組んでまいります。

 また、芝光苑の民営化に向けて、準備を進めてまいります。

 障がい者福祉につきましては、新庁舎供用開始と併せまして、手話通訳者を月2回配置し、手話を必要とする方の支援体制を強化してまいります。

 また、引き続き、市独自の補助であります在宅介護手当や紙おむつ助成、福祉タクシー券の助成などの事業を行うとともに、宇城圏域の市や町、事業所と連携しながら障がい者の日常生活、社会生活を支援してまいります。

 次に、4点目は、産業・経済分野の「“輝く”産業~活力のふるさとづくり~」についてであります。

 まず、農林業の振興につきましては、引き続き、担い手支援を図るとともに、地域活性化起業人を配置し、本市の物産を使った新商品の開発や販売促進への取組に対する支援を行ってまいります。

 また、森林環境譲与税を活用し、森林の間伐等の整備に対する補助を創設し、健全な森林の育成を図ってまいります。

 水産業の振興につきましては、住吉漁港の環境影響評価、いわゆる環境調査を行い、熊本県、熊本市、玉名市と共同で設置する浚渫土砂受入れ地の整備を進めてまいります。

 また、農業用施設の整備として、網津第2排水機場の整備に着手し、効果的な減災対策に取り組んでまいります。

 商工業の振興につきましては、令和5年度も引き続き、市内で新たに創業を行う方を対象に、開業資金の一部に対し補助を行い、地域経済の活性化を図ってまいります。

 観光の振興につきましては、「日本の渚百選」、「日本の夕陽百選」に選定されております「御輿来海岸」を望む島山の干潟景勝地の展望広場の工事に着手するほか、住吉海岸公園の駐車場整備を行い、公園に設置された「ジンベエ像」を活用した観光を充実させてまいります。

 次に、5点目は、生活環境・都市基盤分野の「“輝く”まち~安全のふるさとづくり~」についてであります。

 まず、道路・交通網の整備につきましては、令和2年度から着手しております都市計画道路「北段原線」の未整備区間の整備を進めていくとともに、新たな都市計画マスタープランの策定に取り組み、未来に向けたまちづくりを推進してまいります。

 その他、市道等の維持管理におきましては、自治組織が行う清掃等のボランティア活動に対する支援を新たに創設し、地域コミュニティの強化を図るとともに、機能保全に取り組んでまいります。

 環境保全につきましては、二の丸墓園内の納骨堂が完成し、現在申請受付を開始しております。5月から滞りなく供用開始できるよう取り組んでまいります。

 交通安全対策につきましては、令和5年度も、引き続き、カラー舗装、カーブミラー、防護柵などの整備を行ってまいります。

 次に、住民協働・行財政運営についてであります。

 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、本年5月8日から、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げられます。しかしながら、令和5年度も引き続き、市民のニーズに応じた施策の選択と迅速な実施に努めてまいります。

 また、新型コロナウイルス感染症によって変化した生活様式への対応を推進するため、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用して、公開型GISを構築し、市有施設等の地図情報を整備・公開するとともに、オンラインでの行政手続が可能となるスマート申請を導入し、デジタル化及び行政手続の簡素化に取り組んでまいります。

 また、庁舎建設の進捗に伴い、熊本地震関連で借り入れた地方債の償還が本格化しております。地域経済の状況を把握しながら、行政運営の効率化・円滑化に取り組む必要があると考えております。

 歳入面におきましては、広告収入事業の展開など、積極的に取り組む必要があると考えております。

 また、今年度も「ふるさと宇土応援寄附金」として全国の皆様から多くの寄附をいただいております。いただきました御厚意を無駄にすることなく、行政運営に活用させていただきたいと思っております。

 最後に、「地区のまちづくり計画」についてであります。

 本市の7つの地区は、地区ごとに歴史や文化などの地域資源、特性があり、抱えている課題も違います。令和5年度も、引き続き、分野ごとの各種施策と併せまして、地区の特性を活かすためのまちづくりを展開してまいりたいと考えております。

 以上、市政運営における基本的な考え方と主な施策について申し上げましたが、未来につながる新たな市勢発展の歴史が始まる幕開けの年として、全力で取り組んでまいる所存でございます。

  議員の皆様をはじめ、市民の皆様には、なお一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。




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