大王のひつぎ実験航海事業
修羅の復元 語源と歴史
古来、重量物を遠距離運ぶにはさまざまな道具が使われてきました。
ソリ、修羅、車などがそれで、人力だけではなく、犬・馬・牛その他の動物によってこれを曳くことにより、効率的に運ぶことができるのです。修羅は、ソリが変化し発達したものであり、自然の股木を利用したY字形のソリを指します。
修羅の名称は、歌舞伎の「修羅場」や興福寺の「阿修羅像」などでよく知られています。「阿修羅」は古代インドの鬼神で、須弥山の下の海底に住み、須弥山上に住む「帝釈天」と絶えず争いをくり返していました。帝釈(大石)を動かせるのは阿修羅(修羅)しかいないという言い伝えから、巨石を動かすのは修羅であるという名があるといいます。
古代においても「修羅」の名称が使われていたのかどうかは不明ですが、16世紀以降、大石などを動かすための道具を修羅と呼んでいたことは文献などから確認されています。
昭和53年に大阪府藤井寺市三つ塚古墳周濠から発見された大小二つの木ソリとテコ棒が、中世以降の修羅とまったく同じ形状であったことから、北垣聰一郎氏によってこれを「修羅」と呼ぶべきではないかと提案され、命名されました。この三つ塚古墳の修羅は、長さ8.75m、幅1.85mのアカガシ製のものと、長さ2.82m、幅0.73mのクヌギ製の二本であり、現在は保存処理されて「大阪府立近つ飛鳥博物館」に展示・保管されています。
修羅の復元 復元の様子
復元した石棺を修羅に載せて海岸まで陸送します。
今回製作した修羅は、全長6.22m、幅0.73~1.56m、高さ0.28~0.73mという大型のものです。原木は根元付近から二股に分かれた樹齢約250年のアラカシ(樹立地:熊本県宇城市不知火町)を使用しました。平成15年12月に伐採し、平成16年年7月に完成。製作者は(社)熊本県青年塾の木村浩徳氏を中心とするメンバーで、約3ヶ月かけて完成させました。