8月22日(12時00分・室津港出港、15時50分別府港入港)

大王のひつぎ実験航海事業

航海日誌

8月22日(12時00分・室津港出港、15時50分別府港入港)

 急な前夜の予定変更で、せめて24日の室津出港予定日に組まれていた子どもたちの古代船乗船体験だけでもと繰り上げてもらって午前中に済まして正午出港。

 天気は晴れ。風は昨日と同じだが波は静か。台風避難のためとにかくベルポート芦屋に逃げ込もうと曳航隊形で先を急いでいるのに、お日様ニコニコではどうもやりにくい。これが昨日の海であればもっと実験航海隊形ができたのにと天に向けてため息。陸上の人たちからすれば、まだ台風は太平洋の彼方なのに何を焦っているのと思うだろう。それを考えるとまた、ため息。

 何だか力が出ず、初めて昼食の弁当をへさきに座って食べた。「海王」か伴走船の甲板で食べる漕ぎ手やサポートの女子部員を除いて、船長さんら操舵室にいる人は狭いせいもあって立って弁当を食べるので自分もそうしてきた。つまりは下川航海隊長を含めスタッフは一日中、ほとんど立ちっぱなしだ。だがそんなことはいい。急ぐ船団、静かな海・・・。

 昨夜の会議での船長さんたちの意見で感じたことは、海では常に最悪のケースを考えて行動することが基本なんだということ。台風の影響が出る前に船も船団員も安全な港へ。だから、芦屋に向けて船を進めるのみ。それは分かっているがとモヤモヤしていると瀬戸内海のヨット仲間のネットワークをつくっている「海の遊び人」、姫路の妹尾ひづるさんがヨットで伴走応援に来てくれた。「がんばって」と励まされて気を取り直し、15時半、つまり出港3時間半で加古川・別府港口に着いた。いつもは一日中実験航海をやっているというのにと、また思ってしまう。

 急なことでキャンセルが出来なかった室津の宿舎に戻って台風対応会議。明日は加古川から芦屋に行くが、芦屋から先をどうするかが議題だ。「台風の影響を考えれば24日に最終目的地の大阪・南港に行ってとにかく実験航海の目的を果たし、そのうえで芦屋に戻って船固め」という意見が船長さんたちに強い。だが学者側は「いかに台風接近でもそれはあわただし過ぎる。芦屋で台風通過を待とう」。この実験航海を声援してくれ、大阪到着を楽しみにしてくれている人たちのことも勘案してのことだろう。学生さん代表も含め15、6人で侃々諤々の議論をすること2時間半。結局、両論こもごもで結論でず。とにかく船の台風対応仕様が出来る芦屋に行って再度台風の動向を見て考えよう、ということになった。船団は、台風と実験航海の使命と、声援してくれる人々のはざまで、まさにハムレットだ。

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