7月29日(予備日 大島・馬込港にて停泊中)

大王のひつぎ実験航海事業

航海日誌

7月29日(予備日 大島・馬込港にて停泊中)

 今日も荒天予備日=休養日だが、明日の長崎県田平町・釜田港までの実験航海海域が波高2.5mの予報で、石棺・身丸太船「火の国」への波の打ち込みが予想され、その対応策に追われる。

 石棺蓋丸太船「有明」は丸太船の上部に立てた方形の舷側板に水密構造の木蓋をしているが、「火の国」は立ち漕ぎの操船要員を乗せるので航海中でもアカ汲みが出来ると机上で考えて舷側板の上は青天井。しかし、実際の東シナ海の波しぶきはそんなものではなく、東シナ海に出た2日目の経験では船内が水浸し。だがこれも実験航海してみてわかったこと。無人の「有明」に木蓋をかぶせることを進言した志賀島の船大工・藤田清人さん(「海王」の建造者でもある)の知恵は、海を知る古代人の知恵でもあっただろう。つまり、古代も波の荒い東シナ海、玄界灘では「火の国」のような青天井ではなく、「有明」のようにきっちりと波対応をした丸太船で大切な石棺=大王のひつぎを運んだだろうということ。実際の海に出てみてそのことが証明された。

 能書きはこのへんにし、現代人の失敗はとりあえず現代の用具でカバーすることにして昨夜張った「火の国」の石田カバーをいったん外し、船内の積み荷を固定して再装着。古代に防水シートはなかったが、「有明」の古代式木蓋に比べてとても手がいる現代カバー。やはり古代人は偉かった。

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