大王のひつぎ実験航海事業
馬門石とは
「馬門石」は、熊本県宇土市網津町字馬門付近に産する凝灰岩で、約9万年前の阿蘇山の噴火により流れ出た火砕流が堆積し、数年から十数年をかけて冷えて固まったものです。
この堆積岩は「阿蘇溶結凝灰岩(あそようけつぎょうかいがん)」と呼ばれ、ふつうは灰色~黒褐色ですが、馬門地区に堆積した岩層にはピンク色のものが含まれており、別名「阿蘇ピンク岩」とも呼ばれています。
この石は、比較的軟らかいため加工がしやすく、またその美しい色が珍重され、昔から鳥居や眼鏡橋など色々な構造物の石材として利用されてきました。
近年まで、馬門石が利用されるようになったのは江戸時代以降だと思われていました。ところが、20年ほど前から、この石は考古学の世界で大きく注目を浴びることになります。
関西や中国地方のいくつもの古墳で見つかっている石棺が実は馬門石製であることが判明し、さらに第26代継体天皇の陵墓とされる大阪府の今城塚古墳や、第33代推古天皇の初陵とされる奈良県の植山古墳など、当時の最有力者が葬られたとみられる古墳から、馬門石製の棺が見つかったからです。
地質学的にも解明されていない点の多い謎の「赤い石」。
この石がはるか古墳時代に860㎞も離れた大和の地へ運ばれていた…馬門石は現代人のロマンをかきたててやまない「謎の石」なのです。