第一部 プロローグ
第二回 動き出したプロジェクト
馬門石製の石棺を、古代と同じ方法で関西まで運ぶ実験航海。この大プロジェクトを実現させるため、考古学や海事史の専門家の石棺文化研究会や、宇土市の地域おこし団体である(社)熊本県青年塾等が参加して、今年4月に「大王のひつぎ実験航海実行委員会」が設立されました。そして、いよいよ実験航海に向けての準備が始まったのです。
夢実現へ一歩踏み出した
まずは、実際に石棺を作らなければなりません。復元する石棺は、継体大王(天皇)が葬られたと考えられている大阪府高槻市の今城塚古墳から出土した馬門石製の家形石棺です。
石棺文化研究会が復元図を作成し、熊本出身の彫刻家・高濱英俊さんに製作を依頼しました。また、石棺を載せて陸上を引っ張る「「修羅」と呼ばれる巨大木製ソリは、木村浩徳さん(網引町)が製作を担当することになりました。
木村さんは青年塾のメンバーと一緒に約1ヶ月間かけて宇土半島中を探し歩き、ついに修羅に最適な二股の木を発見しました。
次回は、「古代船の謎に挑む」です。お楽しみに。
1500年ぶりに再現!石棺・修羅引き出しセレモニーを開催
「大王のひつぎ実験航海」事業で、馬門石製の石棺と修羅が完成したのを祝って、7月24日に網津町馬門の大歳神社前で「石棺・修羅完成、引き出しセレモニー」が行われました。
約2カ月がかりで彫った石棺は、全長2.6m、幅1.3ⅿ、高さ1.5mで、ふたと合わせた重さは約7t。その石棺にロープを巻き、引きながら、丸太の上を転がし、約5mの修羅の上に積載。
田口市長らによるテープカットを合図に宇土大太鼓の力強い演奏が行われる中、網津地区住民の皆さんや小中学生ら約300人が力を合わせて修羅に結んだロープを引っ張りました。
その石棺を載せた修羅が動くと、大きな拍手がおこり、この「1500年ぶり」の修羅引き出しが成功したことを喜び合いました。現在、建設中の古代船と台船が今秋に完成すると、いよいよ来年夏に予定している大阪湾に向けた航海がスタートします。