いちばん大事なのは好奇心!

2018年10月02日

ノーベル医学生理学賞を本庶佑京都大学特別教授が受賞されることが決まりました。免疫学を長年研究されており,地道な基礎研究が認められたことで,若手の研究者の励みになるとご本人も喜んでおられました。

本庶特別教授のインタビューで,研究者としていちばん大事なことは好奇心をもつことだとおっしゃっていました。教科書に書いてあることさえ疑ってかかり,自分の目で確かめるまでは信じない。自分の目で確かめるために多くの実験を行う必要があるがほとんどが無駄に終わる。でもその無駄が大事だともおっしゃいました。この教授の姿勢が,これまでのがん治療(手術,抗がん剤治療,放射線治療)では,治療が不可能とされてきた全身に転移したがんや複数種類のがん治療の第4のオプションとして,免疫療法の発見に結びついたのだと思います。

毎日,毎日研究し,いつ自分の望む研究成果が現れるか分からない中での偉業でした。あきらめない姿勢もすごいなと思いました。

もともと研究が好きだからできることだと思いますが,なにか一つのことにとことん拘ることができることも幸せだと思います。

最近,花園小の子どもたちを見てて,「学習も苦手で運動もすかん」という子でも,自分を解放できる,これだったらで集中してきるというものが何か一つはあるんだと思っています。かの有名なアンリ・ファーブルは「ファーブル昆虫記」の著者ですが,登校中でも虫を見つけては観察し,学校にもよく遅刻していたという記録も残っています。また,発明王のエジソンもアップル創業者のスティーブ・ジョブズも周囲から変わり者と思われていた時期もあったと聞いています。

彼らの共通点は,自分が好きなことに拘っていたということです。こんな人たちが世界を変えていくのだと思います。

学校は集団生活の場であり,基本的には集団行動をするところです。でも,そんな学校という社会になかなか適応できずに苦しんでいる子がいます。ファーブルやエジソンに社会が追いついていなかった時代では,彼らはきつかったと思います。生きにくかったと思います。でも,彼らの拘りが偉業を成し遂げたのです。その結果社会から認められたのです。

私はいろんな才能を持った子たちを,無理強いし,現在の学校という集団生活のシステムに当てはめることが正しいことだとは思えません。

今の学校のシステムからどうしても我慢できずに逃げ出したいと思っている子が本校にも沢山います。そんな子は,「今の自分にできることから始める。」ということでいいと思っています。きつい時に,正論(他の子と同じことをやらなけばいけない)を言われても受け入れる心の余裕がありませんから,しばらくは積極的にその場から離れて,落ち着いて自分の好きなこと(今自分にできること)をやりながら,自分自身をふり返ることができる環境が学校にあればいいなぁと心から思います。毎日子どもたちの姿を見て,私自身も迷いながら支援しているところです。どうぞご理解とご協力をお願いします。

また,学校にはいろんな子どもがいて,育った環境も違い,見方・考え方もみんな違います。だからこそ互いにぶつかることも多いです。ぶつかりながら成長しているのだと思います。そんな体験が子どもたちを育てているのだと思います。保護者の皆様にとっては,我が子が人間関係に苦しんでいる姿は見たくないと思いますが,苦しむことそのものが貴重な体験です。是非,お子様には「きついよねぇ!うん,その気持ち分かるよ!」と共感してあげてください。苦しいとき親にどうにか解決してほしいわけではなく,苦しいという気持ちを理解してほしいのです。解決するのは,あくまでも本人自身です。苦しさの中から立ち上がり自分の力で解決することが学習です。大人は,それを見守るしかありません。いつも大人が解決してあげていたら,いつまでも自立できません。難しいですね。

ご家庭で,お子様のことで悩まれていることがありましたら,遠慮なく学校にご相談ください。相談していただくと嬉しいです。

ファーブルの名言を一つ紹介します。

「現実というものは,常に公式からはみ出すものだ」

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