最近,「働き方改革」という言葉がメディアにも随分登場するようになりました。
保護者や地域の皆様からすれば,今まで学校でやってくれていたのにやってくれないの?,○○も家庭でやんなきゃいけないの?,先生たち楽してるんじゃないのなど,いろいろ感じておられると思います。
本来,学校の先生というのは,子どものためだったら何でもやることが当たり前であり,そのために大学で勉強し採用試験を受けて教職員になり,子どもたちのために全力を尽くしたいと考えていました。今でもそう思っています。
しかし,現在の学校では○○教育と名のつくいろんな教育活動が増えて,そのために作らなければならない計画書・報告書なども膨大になっています。また,学校を取り巻く世間の目もどんどん厳しくなり,どんな失敗も許されないというような雰囲気を感じることも多くなりました。さらに,価値観の多様化でいろんなケースに個別に対応する場面が増えていることも事実です。子どもたちの中にもいろんなタイプの子がいらっしゃいますが,個別の対応をしたくても人が足りないのが現実です。学校がカバーする範囲が広がって,そのための打ち合わせの時間や会議の時間も必要です。昔の学校の様子とは一変したなと感じます。
メディアにも毎日のように,「今の学校はブラックだ」などという文字が出ています。ネットニュースの記事へのコメント欄には様々な意見が投稿され,現実をよく捉えている意見もあれば,現実とは全くかけ離れた意見もあります。なにが本当か分かりません。
保護者の方々の職場も学校と同じような状況ではないかと思います。きついのは学校だけではないよとおっしゃるのもよく分かります。
いずれにしても,今「働き方改革」を断行しないと,教員になりたいと考える人が確実に減ってきます。これがまた大きな問題です。熊本県内の教員採用試験は熊本市と熊本県と同時に行われますが,採用倍率も以前よりは下がってきています。でも熊本市は熊本県の約2倍くらい倍率は高いです。熊本市の方が人気があるようです。熊本県の倍率は下がっていくか横ばい状態だと聞いています。このままでは,熊本県にいい人材が採用されません。今年度熊本市では教員の働き方改革を断行するということで数々の具体的な施策が打ち出されています。ますます,熊本市の人気が上がりそうです?今後県内の市町でもそれぞれに合った働き方改革が行われると思いますが,本校でもできるところから始めたいと思います。
宇土市では,夏休みの8/13~8/15の3日間を閉庁とし学校を完全に閉じること,6月からは私たち教職員の出退勤をPCで管理し残業を減らすこと(これまでも手書きで記録はしていた)が始まります。今後,校務支援システムの導入(事務処理が確実でミスなく簡単にできるしくみ)や時間外留守番電話による応答などが導入されると思います。
本校では,今後全ての業務内容に次のような3つのフィルターをかけ,業務量を減らす取組を行っていきたいと考えています。
- 子どもにとって必要な仕事だが,本来学校がすべき仕事でなく学校以外の仕事ではないか?
- 子どもにとって必要な内容だが,必ず学校の先生がしなくてはいけないのか?
- 教職員の負担軽減のために,その業務を止めたり,減らしたりできないのか?
これまで学校がやるのが当然と思われていたことについても,上記のフィルターを通して考えます。その結果,保護者や地域の皆様の負担が増えたり,楽しみにしていた活動がなくなったりするかもしれません。保護者や地域の皆様方と協議しながら「働き方改革」ができるようにしていきたいと思います。
保護者や地域の皆様方にとっては,様々な御意見があると思いますが,今や国を挙げて「働き方改革」に取り組んでいますので,ご理解とご協力をよろしくお願いします。