日々の健康を維持するために大切なこと、その一つは睡眠です。ただ、「春眠暁を覚えず」と言うように、この季節はついつい寝坊しがちになるのが心配の種です。市民の皆様はいかがでしょうか。

　新年度が始まりました。3月、4月という年度末から年度初めにかけては、何かと賑やかな時期です。市役所においても、転入や転出等の住民異動手続きが繁盛期を迎えます。

　その一方で、海苔養殖関係者の皆様にとっては、収穫が終わってやっと一息つける季節になったのではないでしょうか。2012年度の本市の漁業組合(住吉・網田)の海苔共販実績は、前年度に比べて単価が低迷したこともあり落ち込んでしまったことが残念ですが、海苔養殖の皆様には、しばし休息をとっていただき2013年度産に向けて英気を養っていただきたいと思います。

　海苔と言えば、4月14日の「ドゥルー祭」です。海苔の生態を解明されたイギリスの海藻学者キャスリーン・メアリー・ドゥルー女史の功績を讃えようと、昭和38年に海苔漁民の手で住吉自然公園にドゥルー女史記念碑が建立されました。以来、毎年4月14日には、記念碑の前に海苔養殖関係者が多数集まられてドゥルー祭が開催されています。

　また、先日、女史の研究成果をベースにして実験を積み重ね、人口採苗技術を確立された元熊本県水産試験場技師の太田扶桑男さんがお亡くなりになられました(享年95歳)。太田さんもお元気だった頃は、毎年、このドゥルー祭に出席されていました。

　私たちが普段食べている海苔も、その歴史を紐解けば、ドゥルー女史や太田さんの研究の積み重ねという礎があるからこそ、安定した海苔の生産につながっていることが分かります。

　事を成すに当たって、成果を大事にすることはもちろんですが、時にはその成果が生まれるまでの過程(道程)を振り返る(知る)ことも大切なことだと思います。その歴史や背景を知ることで、また違った側面が見えてくるのではないでしょうか。

　4月、新しいことを始めるには絶好の季節です。様々な想いを胸に、心新たにスタートしましょう。

平成25年4月　宇土市長　元松　茂樹

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