元樹だより　平成27年9月　「おもてなしの心」

　去る8月25日に強い勢力で熊本に上陸した台風15号は、九州を中心に各地に猛烈な風と雨による被害をもたらしました。本市でも、家屋等の破損をはじめ長期間に及ぶ停電・断水などにより、市民生活へ大きな影響があったほか、野菜などの農作物はもとより農業施設に深刻な被害が発生しました。被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げます。また、この台風の影響で地蔵まつり2日目午後以降のイベントを残念ながら全て中止としました。

　9月は本格的な台風シーズンです。防災体制の強化を図るとともに、人命を第一に、減災の意識を高め、災害時の被害を最小限に止めることが重要です。そのためには、日ごろからの備えが重要になります。皆さまには、今一度、災害時の避難場所の確認や緊急時の持出品の準備など、常日ごろからの備えをよろしくお願いいたします。

　さて、日本には、お客さまや大切な人を尊重した気遣いや心配りを意味する「おもてなし」という独自の文化があります。そんな「おもてなし」の素晴らしさを感じる出来事がありましたので、今回ご紹介させていただきます。

　先月、神奈川県在住の女性の方から電話が入りました。私はあいにく公務中で、電話に出ることができませんでしたが、次のようなメッセージをいただきました。「所要のため、宇土市に一月ほど滞在したのですが、滞在先の旅館の対応をはじめ至る所で、宇土市民の優しさを感じました。来年も是非、宇土市にお邪魔させてください。宇土市が大好きになりました。」

　このメッセージを見たとき、自然と頬が緩み喜びが込み上げてきました。

　地域活性化には、宇土市を好きになって何度も来ていただく、リピーターの存在は不可欠です。様々なイベント等を招致することで、多くの人を呼び込むことはできます。しかし、イベント等の魅力だけでは、リピーターの獲得にはつながりません。大事なのは、イベント等に来ていただいた方が、地元の方との出会いや交流によって“また、宇土市に行きたい、また、あの人に会いたい”と感じてもらうことです。そのためには、「おもてなしの心」で来訪者を温かく迎え入れ、心地よく過ごしてもらうことが大切だと感じます。

　私は、「おもてなし」の原点は郷土を愛する心ではないかと思っています。郷土を愛するからこそ、来た人を温かく迎え、地域の良さを伝えたい気持ちが生まれるのだと思います。

　今回の出来事では、多くの市民の方が「おもてなしの心」で接しておられることを知り、とても誇らしく感じました。

　これからも市民の皆さん一人ひとりが、地域の自然・歴史・伝統文化などに関心を持ち、郷土宇土市を愛する心を深めていただければ、うれしい限りです。

　「おもてなしの心」で多くの来訪者を迎え入れ、宇土市の魅力を伝えていきましょう。

平成27年9月　宇土市長　元松　茂樹

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